きっかけは画像生成 AI。「仕事の面倒」が「最高の遊び」に変わった『バイブコーディング』の話
私が AI と本格的に向き合うようになったきっかけは、仕事で使う「画像」探しでした。Web デザインの提案で、イメージに合う画像がストックフォトサイトで見つからない…。そんな悩みを解決してくれると期待したのが、当時話題になり始めた画像生成 AI です。
しかし、正直に言うと、私の AI とのファーストコンタクトは大失敗でした。ほんの 1 年ほど前のことですが、生成される画像はガチャ要素が強く、使えるものができるかは完全に運任せ。特に人物はひどく、ただ立っているだけならまだしも、足を組んだり寝転んだりさせようものなら、手足が融合した「キメラ」のようなものが平気で生まれてくる始末でした。
「使えるものは使えるけれど、ダメなものは全くダメ」。そんなほろ苦い経験の後も、私は諦めませんでした。次々と生まれてくる新しい LLM(大規模言語モデル)を、「今度こそは」と無料プランや体験版で片っ端から試していったのです。特に Google の「Gemini」は、無料で使える上に性能も驚くほど高く、私の AI への向き合い方を大きく変えるきっかけとなりました。
多くのモデルを気軽に試せる環境が整い、私の探求心は「使えるかの品定め」から「どう使えば面白くなるか」へと変わっていきました。この「どう使うか」の鍵を握るのが、AI に思いや役割を与えるための「プロンプト」です。
当時は、プロンプトの「正解」として「あなたは一流の〇〇です」と役割を与えたり、「『いい感じに』のような曖昧な指示はしない」といったテクニックが盛んに語られていました。ネットには「最高のプロンプトの書き方」といった情報や、情報商材のようなものまで溢れていたのを記憶しています。
しかし、ここ数ヶ月の間に、私たち人間も AI への伝え方を学び、AI も私たちの意図を深く理解するように進化しました。その結果、ガチガチの指示よりも、もっと感覚的な対話から面白いものが生まれる『バイブコーディング』という「いい落とし所」が見えてきたように感じます。この言葉自体は以前からあったそうですが、AI という最高の相棒を得た今こそ、このスタイルが一番面白くなってきたのではないでしょうか。
だからこそ私は、あえて「完璧な指示書」を渡すのではなく、「こんな感じどう?」と曖昧な問いかけをしてみることにしたのです。そして、いよいよプログラミングの領域で、その実力を試すことにしました。「見せてもらおうか、AI の性能とやらを!」と。
すると、面白いことに気づきました。AI は、完璧な指示を待つだけの「部下」ではなく、こちらの曖昧なアイデアに「こんなのはどう?」と提案を返してくる、最高の「相棒」だったのです。ガチガチの計画を立てるより、その場のノリと勢いで対話しながら作る方が、圧倒的に速くて、何より楽しい!
この記事では、そんな試行錯誤の末にたどり着いた、AI 時代の新しい開発スタイル『バイブコーディング』の魅力をご紹介します。私が実際に AI と「遊び」ながら Web サイトやゲームを作った経験を元に、プログラミングがもっと自由で創造的な活動になるヒントをお伝えできれば幸いです。
結論:AI 時代の開発は「バイブコーディング」が最強!
まず結論から。これからの時代、何かを作りたいと思ったなら「バイブコーディング」が最も速く、そして何より楽しい開発スタイルです。
「AI にお任せ」とは違う、本当の「対話」
ここで一つ、大切なことをお伝えしなければなりません。私が提唱する『バイブコーディング』は、単に「AI に作業を丸投げする」こととは全く違います。
作りたいものの素材だけ決めて、あとは AI に「いい感じに作って」と任せて数をこなす。それは AI との「対話」ではなく、ただの「作業指示」です。それでは、本当の楽しさや、予想を超える発見は生まれません。
【バイブコーディングとは?】
AI の提案に対して「いいね!じゃあ、ここはこう変えてみよう」「そのアイデアは面白いけど、こっちの方向性も試せない?」と、人間側がクリエイティブな舵を取り、思考を止めずに対話を続ける開発スタイルのこと。AI を思考停止の道具ではなく、創造性を刺激し合う「相棒」として扱います。
なぜこれが最強なのか?理由はシンプルです。
- 挫折しない:AI がエラーの解決を手伝ってくれるので、一人で悩み続ける時間がない。
- すぐ形になる:面倒な定型コードは AI 任せ。アイデアを即座に試せる。
- とにかく楽しい:AI とアイデアをぶつけ合う、文化祭の準備のような「共創」のワクワク感が常にある。

まとめ:次回は【実践編】!AI と作ったものを全部お見せします
今回は、AI 時代の新しい開発スタイル『バイブコーディング』の魅力と、その考え方に至った私の個人的な体験談をお話ししました。
完璧な計画を立てるのではなく、AI という最高の相棒と「こんな感じどう?」と対話しながら、まず動くものを爆速で作っていく。このスタイルが、プログラミングを「苦行」から「最高の遊び」に変えてくれることを感じていただけたでしょうか。
とはいえ、「言うは易し、行うは難し」ですよね。「具体的にどんなものが作れるの?」「本当にエラーで詰まらないの?」そんな疑問が湧いてくる頃かと思います。
ご安心ください。次回の【実践編】では、私がこの『バイブコーディング』で実際に作り上げた、
- 自己紹介がわりの Web ページ
- ゲーム『箱入り娘』『オセロ』
- CPU との対戦もできる『陣取りゲーム』
これらの制作過程で、AI とどんな「バイブス」な会話をしながら、どんな壁を乗り越えていったのかを、余すところなくお見せします。
この記事を読んでワクワクした方は、ぜひ次回の【実践編】も楽しみにお待ちください!